成年後見制度とは|親の判断力が心配な時に知っておくべきこと
親の判断力の低下が心配な子世代の方へ。成年後見制度の種類(任意後見・法定後見)の違い、家庭裁判所への申立て手順、弁護士・司法書士への依頼費用の目安をわかりやすく解説。「まだ早い?」と迷う方のための判断基準チェックリスト付きです。
成年後見制度とは — 判断能力が低下した方を守る仕組み
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でない方の権利と財産を法律的に保護するための制度です。2000年4月に従来の禁治産・準禁治産制度に代わって施行されました。最高裁判所の統計によると、2023年の成年後見関係事件(後見開始・保佐開始・補助開始・任意後見監督人選任)の申立件数は約42,000件で、制度開始以来の利用者総数は累計で約25万人を超えています。
この制度が必要とされる場面は多岐にわたります。預貯金の管理、不動産の売却、介護施設への入所契約、遺産分割協議への参加など、重要な法律行為を本人だけでは適切に行えなくなったときに、後見人が本人に代わって、あるいは本人を支援して手続きを進めます。親御さんの判断力に不安を感じたとき、この制度の概要を知っておくことは家族にとって大切な備えです。
法定後見と任意後見 — 2つの制度の違い
成年後見制度は大きく「法定後見」と「任意後見」の2種類に分かれます。法定後見は、すでに判断能力が低下している方のために、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があります。「後見」は判断能力がほとんど失われている場合、「保佐」は著しく不十分な場合、「補助」は不十分な場合に対応します。
後見類型では、後見人に広範な代理権と取消権が与えられ、日常生活に関する行為を除くほぼすべての法律行為を代理できます。保佐類型では、民法で定められた重要な行為(不動産の処分、借財、訴訟行為など)について保佐人の同意が必要になります。補助類型では、本人が選んだ特定の行為についてのみ補助人の同意権や代理権が付与されます。
一方、任意後見は、本人の判断能力がまだ十分なうちに、将来に備えてあらかじめ後見人になる人(任意後見受任者)と契約を結んでおく制度です。公正証書で契約を交わし、実際に判断能力が低下したときに家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てることで効力が発生します。自分の意思で後見人と支援内容を決められる点が法定後見との大きな違いです。
申立ての流れと費用の目安
法定後見の申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。申立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、市区町村長などです。必要な書類は申立書、本人の戸籍謄本、住民票、診断書(成年後見用)、財産目録、収支状況報告書などで、揃えるのにある程度の手間がかかります。
費用面では、申立て手数料として収入印紙800円、登記手数料として収入印紙2,600円、郵便切手代として数千円がかかります。加えて、医師による鑑定が必要と判断された場合は鑑定費用として5万〜10万円程度が発生します。ただし、最高裁判所の統計によると、近年は鑑定が実施されるケースは全体の約1割程度にとどまっています。弁護士や司法書士に申立て手続きを依頼する場合は、報酬として10万〜30万円程度が目安です。
申立てから後見人選任までの期間は、通常2〜4か月程度です。裁判所は本人の状況、候補者の適格性、財産の規模などを総合的に審査します。なお、経済的に困難な場合は法テラス(日本司法支援センター)の立替制度を利用できる可能性があります。また、一部の自治体では申立て費用の助成制度を設けているため、お住まいの地域の制度を確認してみてください。
家族が後見人になる場合のメリットと注意点
後見人には家族(親族)が就任することも可能です。家族後見人の最大のメリットは、本人の生活歴や性格、好みをよく理解しているため、本人の意思を尊重した支援がしやすい点です。また、専門職後見人(弁護士・司法書士・社会福祉士)に支払う報酬が不要になるため、費用面での負担も軽減されます。
しかし、最高裁判所の統計によると、2023年に選任された後見人等のうち親族が占める割合は約2割にとどまり、約8割は専門職が選任されています。この背景には、財産管理の複雑さや親族間の利害対立のリスクがあります。家族後見人には、年に1回以上の家庭裁判所への報告義務があり、財産目録や収支報告を正確に作成する必要があります。
また、財産規模が大きい場合や親族間でトラブルが懸念される場合には、裁判所の判断で後見監督人が選任されることがあります。後見監督人の報酬は本人の財産から支払われるため、その点も考慮が必要です。家族後見人を希望する場合は、事前に家庭裁判所の相談窓口や弁護士に相談して、具体的な義務と責任を理解しておくことをお勧めします。
制度利用を考え始めるタイミング
成年後見制度は「すでに判断能力が大きく低下してから」利用するものと思われがちですが、任意後見制度を使えば元気なうちから将来の備えができます。特に、次のようなサインが見られたら、制度の利用を具体的に検討してもよいかもしれません。同じ物を何度も買ってきてしまう、請求書の支払いを忘れることが増えた、不審な契約や高額な買い物をしてしまった、銀行の手続きがうまくできなくなった、などの変化です。
厚生労働省の推計によると、2025年には65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると見込まれています。判断能力が低下してからでは任意後見契約を結ぶことはできず、法定後見しか選択肢がなくなります。親御さんの判断能力がしっかりしている今のうちに、ご家族で「もしものときにどうするか」を話し合っておくことが、本人の意思を最大限尊重するための第一歩です。
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